サブ3.5〜サブ3を目指すランナーにとって、ペース走はタイム短縮の核心メニューです。ジョグだけでは養えない持久力の“質”を高め、30km以降もペースを維持できる脚と心肺を作ります。
僕自身も、練習にペース走を定期的に取り入れ、距離やペースを調整したことが記録更新の大きな転機となりました。
この記事では、このレベルのランナーに必要な距離・ペース設定・練習周期をわかりやすく解説します。
ペース走の重要性
ジョグやビルドアップだけでは、レース本番の目標ペースで走り続ける能力が不足しがちです。このレベルでは、筋持久力、精神的耐性、そして気象条件やコース変化への適応力が勝負を分けます。サブ3狙い(4:15/km)なら、週1回〜2週に1回は20km前後をそのペースで走る経験が不可欠です。アップダウンや風の影響を含む環境で実施すれば、さらに実戦的になります。
また、季節や気温による体感強度の変化を踏まえ、涼しい時期と暑い時期の両方で練習し、給水や補給のタイミングを本番前に確立しておきましょう。
ペース設定の目安
目標タイム | レースペース | ペース走設定 | 距離 |
---|---|---|---|
サブ3.5(3:29:59) | 4:58/km | 4:50〜5:00/km | 12〜18km |
サブ3.25(3:15:00) | 4:37/km | 4:30〜4:40/km | 14〜20km |
サブ3(2:59:59) | 4:15/km | 4:10〜4:20/km | 16〜24km |
ポイント:
- ペースはレースペース±5秒
- 気温20℃以上では+5〜10秒を許容
- 月間走行距離の15〜20%をペース走に充てる
練習周期
8〜6週間前:耐久性フェーズ
- 距離重視(18〜22km)/ペースはレースペース+5秒
- 心拍ゾーン:最大心拍の85%前後
6〜3週間前:実戦フェーズ
- ペース重視(16〜20km)/ペースはレースペース〜−5秒
- 補給・給水も本番同様に実施
3週間前〜本番:維持フェーズ
- 距離短縮(10〜14km)/ペースはレースペースジャスト
失敗パターンと対策
- 序盤が速すぎる → 最初の2kmは控えめに入り、リズムを整える
- 疲労蓄積で質が低下 → 翌日は完全休養または軽いジョグ
- 天候を無視 → 暑さ・風などに応じてペースを調整
装備・補給の工夫
- ランニングウォッチ:ラップ平均ペース表示を活用し、区間ごとのブレを抑えながら全体のペースを安定させる工夫を行う。レース本番でも同じ表示モードを使い、1kmごとのペースだけでなくラップごとの平均値を確認しながら走ることで、後半の失速やオーバーペースを未然に防げる。さらに、時計の画面レイアウトを自分好みにカスタマイズし、心拍数や経過時間も同時に表示できるようにしておくと、練習効率と本番での安心感が大きく向上する
- シューズ:本番でカーボンシューズを履くなら、練習でも試すことが重要です。特にペース走やレースペース走など、実際に本番と近い条件で走り、着地感や反発力、脚への負担のかかり方を確認しましょう。これにより、靴の特性を理解し、当日の走りをよりスムーズにできます
- 補給食:15km以上なら1本持参し、本番で使用予定のものを試すようにしましょう。特にジェルやエナジーバーはメーカーや成分によって味や口当たり、消化のしやすさが異なります。練習時に試すことで、自分の胃腸に合うかどうかや、走りながら開封・摂取しやすいかを事前に確認でき、本番でのトラブル回避につながります
練習例(サブ3期)
- 火:ジョグ10km(Eペース)
- 木:ペース走18km(4:15/km)
- 土:ジョグ12km
- 日:ロング走28km(4:40/km)
月間走行距離は約300km。この組み合わせで後半の失速をほぼ防げました。
まとめ
ペース走は、サブ3.5〜サブ3ランナーのタイム短縮に直結します。適切な距離・ペース設定と練習周期を守れば、35km以降も粘れる走力を獲得でき、自己ベスト更新の確率が大幅に上がります。