「インターバルってとにかく追い込むやつでしょ?」
リディアード式の期分けに沿ってトレーニングを進めると、ヒル期の次にやってくるのが無酸素期=インターバルです。
ところが、ここで多くの市民ランナーがやらかす。タイムを意識しすぎてゼーゼー追い込み、フォームがぐちゃぐちゃのまま3週目で脚を痛める。あるいは「いいトレーニングだ」と気に入って、3ヶ月ぶっ続けでやり続けてオーバートレーニングになる。
それは、リディアードの言うインターバルではありません。
自分も最初のインターバル期で同じ失敗をしました。トラックでタイムを気にしすぎて、3本目あたりからフォームが崩れていたのに止められなかった。その日は気持ちよかったけれど、翌日の脚はパンパン。週2回続けるはずが、結局1回でその週は終わってしまった。
インターバル期の本当の目的は「無酸素能力(乳酸耐性)を上げる」こと
リディアードはインターバル期について、こう位置づけています。
有酸素の土台に「スピードの屋根」を載せる段階
インターバルの目的は、フォームを壊すことでもタイムを縮めることでもない。
乳酸が溜まる強度に身体を慣らし、レース後半でも粘れる脚を作ること。これに尽きます。
期分けの中でインターバル期は、ヒル期で作った「神経と筋肉のバネ」の上に、レースペースで走り続けられる無酸素能力を載せるフェーズ。具体的には次の3つを狙います。
- 乳酸閾値の引き上げ(乳酸が溜まりにくい体質に)
- 速いペースでもフォームが崩れない安定性
- レース後半に必要な「ペースを落とさない強さ」
VO2maxの向上もついてくるが、それは結果論。主軸は「乳酸耐性」と「ペース維持力」です。
リディアード式インターバルの基本ペース:3000〜5000mレースペース
リディアード式の標準は、3000mから5000mのレースペース。
つまり:
- マラソンより40秒〜1分/km速いペース
- 心肺は完全に上がりきる強度
- ただし「3/4の努力(four-fifths effort)」で。全力ではない
「全力じゃないけど、息は完全に上がる」というのが正しい強度感。リディアードがよく言う「Train, but don’t strain(鍛えよ、ただし無理するな)」は、インターバル期にこそ生きてきます。
目標タイム別・ペース目安
実際の数値で見るとこうなります。私の自己ベスト(サブ2:42)を基準に整理しました。
| 目標マラソンタイム | マラソンペース | インターバルのペース(5000mペース相当) |
|---|---|---|
| サブ2:50 | 4:01/km | 3:15〜3:25/km |
| サブ3 | 4:15/km | 3:30〜3:45/km |
| サブ3:30 | 4:58/km | 4:10〜4:25/km |
| サブ4 | 5:41/km | 4:45〜5:00/km |
「マラソンレースペースから1分くらい速いゾーン」と覚えればOK。これより遅いと閾値走(テンポ走)になってしまい、無酸素期の刺激にならない。
メニュー例:3つの基本パターン
リディアード式の標準は、合計疾走距離が4,000〜6,000mになる組み合わせ。
① 400m × 12本(短距離反復)
- 1本ずつのダメージが少なく、フォームを保ちやすい
- インターバル期の初週におすすめ
- レストは400mジョグ(疾走と同距離)
② 800m × 6本(中距離反復)
- 乳酸に慣らすのに最適
- 5000mペースを「中盤まで耐える」感覚が掴める
- レストは400〜600mジョグ
③ 1000m × 5本(長距離反復)
- 一番きついが、効果も大きい
- 最後の1本までペースを落とさず走り切れる強度で
- レストは600〜800mジョグ
どれを選ぶかは「その日の脚と相談」で構わない。1セッションで合計5,000m前後にまとまっていればOK。
レスト(回復区間)の考え方
レストは「完全に呼吸が落ち着くまで」が基本。リディアード流ではレスト多めです。
- 走った距離と同じ〜やや短い距離をジョグで戻る
- 心拍が落ち着いて、次の本に集中できる状態を作る
- 「ハァハァ言いながら次へ」は強度オーバーのサイン
一般的な短距離インターバル本「200mレスト」ではリディアード流には短すぎる。ジョグで歩くスピード〜キロ7分くらいでいいので、ゆっくり戻ること。
インターバル期の長さと頻度
リディアード式の原則は明確です。
- 3〜4週間限定
- 週2回のインターバル+有酸素ジョグ+ロングラン
無酸素期を長く続けると、必ずどこかで壊れる。だから「3〜4週間で必ず切り上げる」ことが鉄則。
曜日構成例(あくまで目安)
- 月:有酸素ラン(60分)
- 火:インターバル(前述のメニュー)
- 水:有酸素ラン(60〜90分)
- 木:インターバル(前述のメニュー)
- 金:軽めのジョグ or 完全休養
- 土:流し or ファルトレク
- 日:ロングラン(軽め)
仕上げに「タイムトライアル」を入れる
リディアード式インターバルの大事な仕上げが、3000m or 5000mのタイムトライアル。
3〜4週間の最終週、または無酸素期の終盤に、トラックや河川敷で3000m〜5000mを「全力に近い強度」で走る。これで自分の今の力が分かる。
- ペース感覚の精度を磨ける
- 次のフェーズ(コーディネーション期)のレースペース設定の根拠になる
- 「自分の今の地力」を数値で把握できる
タイムを見ずに感覚で走り切って、ゴール後に時計を確認するのがおすすめ。
シフト勤務でも回すコツ
私はバス運転手で、不規則なシフト制勤務です。週2回のインターバルを「火曜と木曜」のような固定曜日でやるのは現実的じゃない。
そこで実践しているのは、「曜日ではなく、仕事の日/休みの日」でメニューを管理するやり方。
- 仕事の日(60分しか走れない日)→ 400m × 8〜10本に短縮版
- 休みの日(90〜120分取れる日)→ 800m × 6本 or 1000m × 5本のフル版
- 連勤明けは無理せず有酸素ジョグに切り替え
「決めたメニュー」より「今日の脚の状態」を優先するほうが、結果的に3〜4週間続きます。
やりがちな失敗3つ
① 全力で追い込む
「インターバル=追い込み」と思い込んで、3本目から呼吸ぐちゃぐちゃ、フォームぐちゃぐちゃ。これは無酸素期ではなく「自爆練習」です。フォームを保てる範囲で、3/4 effortを徹底。
② 期間を引き延ばす
「気持ちいいからもう1週間」「もう少しタイムを伸ばしたい」と続けて2ヶ月。脚に疲労が溜まり、レース前に故障で終わる典型パターン。3〜4週間で必ず切り上げること。
③ レストが短すぎる
「200mで戻る」では息が整わない。次の本も追い込めず、ただきついだけの練習になる。レストは完全回復が前提。「今すぐ次行きたい」と感じてから走り出すのが正解。
まとめ
- インターバル期の目的は乳酸耐性とペース維持力の獲得
- ペースは5000mレースペース(マラソンより40〜60秒速い)
- メニューは合計5,000m前後(400m×12 / 800m×6 / 1000m×5)
- レストは多め、ジョグで完全回復してから次へ
- 期間は3〜4週間限定、週2回のインターバル
- 仕上げに3000m or 5000m タイムトライアルを入れる
- シフト勤務なら「曜日ではなく仕事の日/休みの日」で管理
「Train, but don’t strain」リディアードの哲学は、インターバル期で全力を出すか出さないかの判断に効いてきます。
無酸素期を正しく終えれば、次のコーディネーション期(調整期)に入った瞬間にレースペースが軽く感じられるようになる。逆に、無酸素期で追い込みすぎると、コーディネーション期の前に脚が壊れる。
この記事で紹介したアイテム
インターバル期は脚へのダメージが大きいフェーズ。走り終えた後のケアと、信頼できる原典を手元に置くことで、3〜4週間を質高く走り切れます。
もっと具体的な数字とメニューが知りたい方へ
私が静岡マラソン(サブ2:42達成)に向けて実際に踏んだ6ヶ月分の月別メニューには、インターバル期の具体的な距離・本数・タイムトライアル結果も収録しています。
▶ 【実録】バス運転手がサブ2:42を出した、静岡マラソン6ヶ月メニュー(note)
期分け全体の流れを先に押さえたい方は、入門記事から:
→ リディアード式マラソントレーニング入門|「期分け」で迷子にならない練習の組み立て方


