スピード練習の前に“坂”を使え──マラソンに効くリディアード式・ヒルトレーニングの実践法
「ヒルトレーニングって、坂ダッシュでしょ?」
僕もそう思っていました。でも、リディアードの本を読み込んでいくうちにわかったのは、彼のヒルトレーニングは単なるスピード練習ではなく、“動きづくりと筋力アップ”のための準備期間だったということ。
フォーム改善、筋力強化、可動域アップ、そして“スピード期”への橋渡しとして。
有酸素期で作った土台を壊さずに、次のフェーズへつなげていく──それがこの4週間の役割です。僕も、最初は戸惑いながらも、自分の環境に合わせた形でこのフェーズを取り入れました。
今回は、リディアード式トレーニングの“フェーズ2:ヒルトレーニング”について、
- その理論的な背景
- 市民ランナーとしての実践法
を、僕の経験を交えながら紹介していきます。
「脚を作る」って、こういうことかもしれません。
【理論編】なぜ「坂」を使うのか?〜リディアード式ヒルトレーニングの5つの目的〜
アーサー・リディアードのヒルトレーニングは、単なる坂道ダッシュではありません。
筋力、柔軟性、そして心肺機能の向上を目的とした総合的なトレーニングで、“有酸素期”と“インターバル期”の橋渡しとなる4週間です。
✅ ヒルトレーニングの目的と効果
- 筋力向上:大腿四頭筋、ハムストリングス、臀筋など、ランニングに必要な主要な筋群を鍛える。
- 筋の柔軟性強化:坂道特有の動きで股関節や足首の可動域を広げ、柔軟性を高める。
- フォーム改善:前傾姿勢・膝の引き上げ・接地位置を自然と意識でき、効率の良い走りが身につく。
- 無酸素能力への移行準備:スピード練習に入る前に、身体とメンタルに「強い刺激」を慣らしておく。
- 故障予防:筋力・柔軟性の不足による怪我リスクを減らす。
この時期も、“2時間ジョグ”などの有酸素ベースは週に1回継続。
週2〜3回のヒルトレーニング+有酸素ベースの継続が理想的です。
【トレーニングの種類と方法】
● スティープ・ヒル・ランニング(Steep Hill Running)
- 急な坂(50〜60m)を、膝を高く上げて力強く駆け上がる。
- 地面を強く押す意識で、スピードよりもフォーム重視。
- 回数:3〜5本、歩いて下って回復。
● ヒル・バウンディング(Hill Bounding)
- 鹿のように跳ねながら登る大きな跳躍動作。
- 坂を使ってストライドと推進力を鍛える。
- 緩めの坂が理想、20m助走+30m跳躍×3〜5セット。
● ヒル・スプリンギング(Hill Springing)
- 足首のバネを意識して弾むように坂を登る。
- 重心を上下に動かし、足まわりを強化。
● ダウンヒル・ストライディング(Downhill Striding)
- 下り坂をリラックスして大きなストライドで駆け下る。
- 重力の使い方、ストライドの伸ばし方を身につける。
【実践編】僕がやったこと──坂を探す、まずそこから
「やろう!」と思っても、まず必要なのは坂。
僕は、家の近くで見つけた150mの坂道を使いました。急すぎず緩すぎず、広い歩道。土ではないけど安全に走れる場所を選びました。
週2回、30分のジョグのあとにヒルトレーニングを実施。
- 平日①:30分ジョグ+ヒルトレ(3種から1〜2種)
- 平日②:30分ジョグ+ヒルトレ(別メニュー)
- 休日 :90〜120分のロングジョグ
最初の2週間はハムやお尻にしっかり筋肉痛が来ました。でも、それは良いサイン。
「筋肉のスイッチが入ったな」と思えるようになってから、走りが軽くなるのを感じました。
【まとめ】
- ヒルトレーニングは、筋力・柔軟性・フォーム改善のための準備フェーズ。
- 「スピードを出せる脚」を安全に作ることが目的。
- 有酸素ジョグは継続しつつ、週2〜3回、30分ジョグ+坂トレを実施。
「どんな坂を使えばいい?」「もっと詳しく知りたい」など、
ご自身に合った練習の相談をしたい方は、
Instagram(@ichiro_42.195)のDMや、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ!一緒に“次のステージ”への脚づくり、始めてみましょう。
※この次は「インターバル・スピード期」について書いていく予定です。