マラソンで「期分けトレーニング」が必要な理由|ぼっち練で実感した半年の変化

初心者ランナー

ランニングを始めてしばらく経つと、こんな壁にぶつかることがある。

「インターバルをやっているのにタイムが伸びない」
「何をいつやればいいか、よくわからない」
「大会に出るたびに、自己ベストが更新できなくなってきた」

私もそうだった。バスの運転手をしながら、仕事の合間に走っていた頃は、とにかく「走れば速くなる」と思っていた。でも、何年も同じようなタイムで止まっていた。

変わったのは、練習に「順番」を意識したときからだ。これが「期分けトレーニング」という考え方になる。

期分けとは何か

「期分け」とは、一年間(または半年間)の練習を、目的別にいくつかの「フェーズ(期)」に分けて取り組むトレーニング設計のことだ。

一言でいえば、「時期によってやることを変える」ということ。

料理に例えると、いきなりステーキを焼くのではなく、素材を揃えて、下ごしらえをして、そのあとに焼く——という順番を守ること。ランニングでも、「体の土台」を作ってから「速さ」を磨くという順番がある。

なぜ一年中インターバルをやっても伸びないのか

多くの市民ランナーがやりがちなのが、「速くなりたいからインターバルをやる」という発想だ。

インターバルは確かに効果がある。でも、土台となる有酸素能力がない状態でインターバルをやり続けると、短期的には効果が出ても、すぐに頭打ちになる。疲労が抜ける前に次の刺激を入れ続けることで、故障リスクも上がる。

私が半年間でフルマラソン2時間42分を出せたのは、インターバルを増やしたからではない。まず有酸素の土台を徹底的に作り、そこからスピードの刺激を入れたからだ。順番が全てだった。

インターバルばかりやっていた頃、一番やってしまったのは「疲れ果ててジョグすらできない週が続いた」ことだ。インターバルをこなすために体力を使い切って、月間走行距離はむしろ落ちていた。有酸素能力を鍛えるべき時期に無酸素の刺激ばかり入れていたことで、走力の土台が育っていなかったことを後から知った。

サブスリーは達成したのに、そこから先の2時間40分台に届くまでに時間がかかった。その一番の原因は「いつ何をすべきか」が整理できていなかったことだと今は思う。

そしてこれは、サブスリーを目指す人だけの話ではない。初めてのフルマラソンを完走したい人も、サブ4を狙う人も、サブスリーを狙う人も、期分けの「順番」はまったく同じだ。

有酸素の土台を作り、バネを鍛え、速さを開発し、レースに向けて整える。この流れは走力に関係なく共通している。速い人専用の期分けがあるわけではない。

期分けの基本的な流れ

レースから逆算して、おおよそ次の順番で練習を組む。

① 有酸素基礎期(約8〜12週間)

まず「楽に長く走れる体」を作る時期。ペースは遅くていい。心拍を上げすぎず、会話ができるくらいのジョグを積み重ねる。

「こんなにゆっくりで速くなるの?」と思う人は多い。私も最初の1週間は半信半疑のまま走っていた。でもこの時期をしっかり積むことで、後の練習の効果が変わってくる。

有酸素ランのペース設定|マラソンで伸びるジョグの「正しい強度」とは

② ヒル期(約4〜6週間)

坂道を使って、脚のバネと筋力を鍛える時期。スピードを上げるための「道具」を作るイメージだ。

スプリントではなく、あくまで「バネを使ったジョグ」が基本。ここで追い込みすぎると逆効果になる。フォームがぐちゃぐちゃになって、心が折れかけた時期でもあった。

リディアード式ヒル・スプリンギングの正しいやり方

③ 無酸素期(約3〜4週間)

ここでようやくインターバルが登場する。有酸素の土台とヒルで作った筋力を使って、レース後半に粘れる脚を作る。

この時期が一番短いのがポイント。長くやりすぎると故障する。最初のインターバルで「脚が違う」と感じた瞬間のことは、今でも覚えている。

リディアード式インターバルトレーニング|3〜4週間で無酸素能力を上げる正しいやり方

④ コーディネーション期・テーパリング期(約4〜6週間)

レースに向けて「調整」していく時期。練習量を落としながら、体の鮮度を取り戻す。

「練習を減らすと衰える気がして不安」という人は多い。私も最初は怖かった。でもここで追い込むのは完全に逆効果だ。

マラソン2か月前のコーディネーション期|「鍛える」から「整える」へ正しく移行する方法
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シフト勤務のランナーでも期分けはできる

「朝3時起きや夜勤がある自分には、期分けなんて無理」と思う人もいるかもしれない。

私もシフト制のバス運転手で、週に練習できる日数はバラバラだ。それでも半年間やり切れた。曜日ではなく「今はどのフェーズか」という意識を持つことが、不規則な生活でも期分けを続けるコツだった。

具体的にどう組み立てたかは、note記事に全部書いた。

期分けトレーニングで誤解しやすいこと

「期分け=リディアード式」と思っている人は多いが、期分け自体は普遍的な考え方だ。陸上の高校生も、箱根を走る大学生も、マラソンのエリートランナーも、みんな何らかの形で期分けをしている。

リディアード式はその中でも「有酸素土台を特に重視する」アプローチだ。市民ランナーに向いている理由と、よくある誤解については別記事にまとめている。

市民ランナーがやりがちなリディアード理論の誤解3つ

全体像を把握したい人へ

5つのフェーズの詳細と、各フェーズの実践記事へのリンクをまとめたハブ記事がある。期分けの全体像を一枚で把握したい人はこちらを。

リディアード式マラソントレーニング入門|「期分け」で迷子にならない練習の組み立て方

まとめ

  • 期分けとは「時期によってやることを変える」トレーニング設計
  • 一年中インターバルをやっても、有酸素の土台がなければ頭打ちになる
  • 有酸素→ヒル→無酸素→調整、という順番が基本
  • 初心者もサブスリーランナーも、期分けの順番はまったく同じ
  • シフト勤務でも「フェーズ意識」を持てば実践できる

「何をいつやればいいかわからない」を抜け出すには、まず自分のレースに向けた6ヶ月の「地図」を持つことが先決だ。


私が実際にやった6ヶ月の記録——各フェーズで何を考えて、何を失敗したか——を月割りで全部まとめたnote記事がある。

9月から3月の静岡マラソンまで。シフト勤務で、一人で走り続けた6ヶ月の実録だ。

トレーニングを支える道具選びの参考に:GPSウォッチは → カロスPACE 3・ガーミン165 使い比べ、ジョグ用シューズは → Onクラウドモンスター レビュー

ぼっち練でサブ2:42|リディアード式6ヶ月の実録(¥500)

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